創業前より素材の可能性には注目していた堆肥中で分解するポリエステルですが、いざ製品化 しようと思うと、まったく未知の素材でした。服を作るどころか、糸を一本作るのにも試行錯誤 の繰り返し。例えば丈夫な服を作ろうと考えた際、通常は丈夫な糸を使えば作ることはできます。 しかし、この素材を使う場合、堆肥に埋めた際にバクテリアが分解できる固さである必要がある ため、耐久性と分解可能を両立させないといけません。さらに当時は素材の特性も未解明な部分 があったため、糸の太さが均一にならずに編み機の針を壊したり、生地を作った際に透けてしま ったりするなど、一進一退の挑戦の連続、開発開始から製品化までには10 年もの月日を要し ました。

それでもこの素材の製品化に成功したのは、「今できることで判断せず、やりたいことを突き進 める」の精神で会社一丸となって頑張ってきた賜物です。堆肥中で分解するポリエステルは、 『サステナブル社会＝持続可能な社会』を実現することができるだけの可能性を秘めています。

例えば、現在ポリエステルで作られている衣料をこの堆肥中で分解するポリエステルに切り替え ることができれば、それだけで地球にかかる負担を大幅に軽減する事が出来ます。

もちろん実際にこの素材を社会に浸透させるのは容易ではありません。回収と廃棄という新たな 取り組みも必要になります。挑戦するだけの価値は大いにあります。
そしてそれができるのは、生地屋として多くの生地に触れてきた私たちだと自負しております。 これからも一人でも多くのお客様、一社でも多くの企業様に堆肥中で分解するポリエステルの 魅力をお届けできるよう、商品開発に挑み続け、より良い服を生み出してまいります。

株式会社V&A Japan　代表取締役会長　宮本淳