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タビタリウムのエコTシャツが堆肥化して地球に還っていく動画

2021年 2月 01日

堆肥分解性ポリエステルを堆肥の中に埋めると、微生物のはたらきによって、分解し姿形は消えてなくなる。

それは本当なのでしょうか? 立証するデータがこちらにあります。

 

特定堆肥での分解時重量比較

特定堆肥での分解時重量比較グラフ

 CRAFTEVO® BIOZ (株)V&A Japan 調べ

 

1年で全重量の93%が分解する

100グラムの堆肥分解性ポリエステルを堆肥中に埋める。毎月徐々に重量が減っていく。そして、ついに12ヶ月目には7グラムしか残らなかった。このグラフはそう示しています。93%ものポリエステルの重量がなくなったことになります。 

1年でこの特別なポリエステルは、ほとんど全てが分解によって減量する。どうやらこれは確かなようです。天然繊維(コットンやウール)であれば、堆肥の中で分解してなくなってしまうのも、化学が苦手な私、タビタリウム担当:ヨシでもなんとなく想像できます。でも石油を原料とした化学繊維のポリエステルが堆肥中で分解するなんて信じがたいですよね。

データで立証されていますが、どうしても実感がわきません。私は長らくピンときませんでした。理想的な条件のもとで成り立つ理屈でも、実際には現実的な諸条件が絡みあい、理屈どおりには成り立たない、という高機能素材はたくさんありますから。

 

 

タビタリウムのエコTシャツを牧場の堆肥に埋めてみた

百聞は一見にしかず。ということで、タビタリウムの初代エコTシャツ(2018年発売)を、実際に堆肥の中に埋めてみることにしました。Tシャツの素材は、100%堆肥分解性ポリエステル製、30番単糸の天竺素材(生地品番VAPK9556BZ WF)。衿も身生地も縫い糸も全てポリエステル製、洗濯ネームは綿製です。

 

タビタリウムの初代エコTシャツ(2018年発売)正面と背面

 

 

どこの堆肥にTシャツを埋めるの?

廃プラスチックを含む生ごみを害なく堆肥化(堆肥中の微生物がゴミを分解すること)する事業には、都道府県庁が発行する許可証が必要です。「産業廃棄物中間処理許可証」といいます。

タビタリウムは、「産業廃棄物中間処理許可証」を持つ牧場と提携しています。この牧場の牧場主さんは、堆肥分解性ポリエステルの分解に適した特定堆肥を30年以上育てている、まさに堆肥の専門家です。使い終わったエコTシャツをお客さまから回収して堆肥化できるのは、この牧場の特定堆肥があるからです。タビタリウムのエコTシャツにとってここは、なくてはならない旅の終着点であり、出発点でもあります。

 

牧場主さんと堆肥と温度計と重機

 

さてTシャツを牧場へ持っていき、特定堆肥に埋めました。そして、月に1回堆肥からTシャツ取り出して観察すること1年。Tシャツはどうなったでしょうか? Tシャツの変化を動画で振り返ってみましょう。

 

タビタリウムのエコTシャツが堆肥化して地球に還っていく動画

 

 1年かけて経過を観察したTシャツを、たった12秒で見せるという贅沢な動画です。

埋設して1、2カ月、外見上の変化はほとんど見られません。
3ヵ月目にTシャツに数センチの穴や切れ目が出てきました。少し生地がもろくなっているようです。
5ヵ月目になると切れ目は多くなり、Tシャツの肩から裾にかけて生地が裂けてしまいました。
6ヵ月以降の分解は急速です。生地は徐々に切れ目が増え、Tシャツの原形を留めることができなくなってきました。
9ヵ月目になると、Tシャツの生地は全て小片になります。小片を手で触って引き裂くと、弱い力をかけるだけで簡単に破れるようになります。
分解はさらに進み、12カ月目になるともう残っているのは、わずかな量の小片だけになりまた。

 

外観の変化を観察する分解実験の結果は、最初に示した重量比データが示す結果と極めてよく符合していることがわかりました。

本当に実際に目に見えて堆肥化するんですね。タビタリウム担当が1年歳をとって分かったことです。

 

循環型の資源利用

ポリエステル商品を廃棄するには、燃やすか、埋め立てるしか方法がありませんでした。でも堆肥化することができれば二酸化炭素の排出量を40%減らすことができます。*

努力してようやく商品を作り上げる。商品が出来上がったら次に、環境に負荷なく堆肥化するのかどうかを見極める。エコTシャツに携わるものにとって、商品だけでなく廃棄するところまでがものづくりです。

地球(石油)から地球(水と二酸化炭素とバイオマス)へ。Tシャツを着る人なら誰にでもできる循環型の資源利用、お試しあれ。

 

 *参考文献:“Environmental assessment of bio-based polymer and natural fibers”  by Martin Patel et al, Utrecht University, Netherlands